ペンジョール!バリ島でよく見る竹のオブジェ!
バリの人々にとってのペンジョールの意味
古い時代から現在までのバリ島のヒンドゥー教徒は、宗教的な儀式を行う際に、様々なシンボルを使用して、自分たちを神と結びつけます。ヒンドゥー教では、シンボルは「niasa(ニアサ)」として知られています。様々なシンボルによって、人間は無形の神を崇拝することにもっと集中できることが期待されています。宗教の儀式では、地球の内容や神への人間の要求を意味するシンボルとして様々な素材が使用されます。
色々なシンボルの中で、非常に美しく、魅力的なシンボルがあります。そのシンボルは「penjor(ペンジョール)」と言われます。こちらです。
バリ島に行ったことがある方は見たことがあるかもしれません。
バリの人々は二つ種類のペンジョールを認識します。宗教的な儀式のペンジョールと装飾的なペンジョールです。宗教的なペンジョールはガルンガンお祭りや寺院のお祭りが行われる時に使われていますが、装飾的なペンジョールの場合は村の競争やパーティーなどに使われています。
バリ人ではない方たちにとっては、宗教的なペンジョールと装飾的なペンジョールを区別するのは難しいかもしれません。形や飾り物などがとても似ているからです。
しかし、ヒンドゥー教の信仰をしているバリの人々にとっては、それは彼ら自身の文化の一部であるため、宗教的なペンジョールと装飾的なペンジョールを明確に区別することができます。装飾的なペンジョールは様々な果物やお供え物などが使われていませんが、ガルンガンお祭りや寺院のお祭りの時に使われているペンジョールの場合は様々な果物や神棚、お供え物などが付けてあります。
ペンジョールの歴史
バリ島で見つかった歴史的な証拠によると、ペンジョールは西暦882年の「sri jaya kasunu(スリ ジャヤ カシュヌ)」王の治世中に宗教儀式の手段として使用され始めたと言われます。「sri jaya kasunu(スリ ジャヤ カシュヌ)」王の治世中の前に、毎年バリの王たちはガルンガンお祭りを祝っていましたが、どんな問題があったかどうか分かりませんが、当時ガルンガンお祭りのお祝いは全然、祝われなかったと言われます。その問題で当時の王様と全ての政府関係者は短命になりました。その原因を知るために「sri jaya kasunu(スリ ジャヤ カシュヌ)」王はベサキ寺院にある「dalem puri(ダレン プリ)」寺院で瞑想します。瞑想の中でdurga(ドゥルガ)女神の囁きが聞こえました。Durga(ドゥルガ)女神は、ガルンガンお祭りのお祝いが中止され、与えられた祝福について、神に決して感謝しなかったので、バリの王たちは短命になったと言いました。Durga(ドゥルガ) 女神の囁きを聞いた後、「sri jaya kasunu(スリ ジャヤ カシュヌ)」王は今までペンジョールとして知られている、地球の産物で飾られた竹の棒で神のシンボルを作成しました。
ペンジョールの目的と意味
ペンジョールは宇宙のシンボルです。人間に生命と平和を与える宇宙の内容です。世界又は土地は二つの竜として象徴されています。バリ島でその二つの竜は「naga basuki(ナガ バスキ)」と「naga ananta bhoga(ナガ アナンタボガ)竜と言われます。
それに加えて、ペンジョールは人間に幸せや豊かさを提供する山のシンボルでもあります。ペンジョールの装飾は様々な葉や果物が使用され、バリで「pala bungkah(パラ ブンガ), pala gantung(パラ ガンタン), pala wija(パラ ウィジャ)」と言われます。お菓子、サトウキビと伝統的なお金も付けてあります。
インドネシアのヒンドゥー教組織も、寺院や家の前にペンジョールを設置する目的は人間に命を与えてくれた神への感謝や献身の形であると説明していました。ペンジョールはまた、神がこの世界の全ての生き物に授けてくださった繁栄に対する人間の感謝の印でもあります。背の高い曲がった竹は、神聖な場所としての山の象徴です。ココナッツ、バナナ、サトウキビ、お米、お菓子と黄色と白の布で構成される装飾は、神が人間のために創造した全ての植物と食べ物の象徴です。
ガルンガンお祭りの時にバリヒンドゥー教の人々はペンジョールを作ります。ガルンガンお祭りのペンジョールは火曜日に設置されます。これは善の勝利を意味する「penampahan(プナンパハン)」ガルンガンと言われる日として知られています。
ガルンガンお祭りのペンジョールは必ず家の玄関の右側のほうに設置されます。神棚とペンジョールの曲がっている部分は道路に向かって設置されます。
ペンジョールの材料は先端が曲がっている竹とヤシの木の葉っぱ、果物、様々な葉っぱなどです。ペンジョールの先端にお供え物と花を付けます。ペンジョールの前に「arda candra(アルダ チャンドラ)」と言われる神棚も付けます。
ペンジョールのシンボルと意味
ペンジョールの要素はウェダの教えを応用した神聖なシンボルです。ウェダはヒンドゥー教の聖典の名前です。従って、ペンジョールは宗教的な倫理的価値観の存在を反映しています。
出典:https://id.wikipedia.org/wiki/Penjor
ペンジョールのシンボルの意味はこちらです。
1. Sampian(サンピアン) ペンジョールはparama siwa(パラマ シワ)神の力の象徴
2. jaje gina(ジャジェ ギナ)というお菓子と餅はbrahma(ブラハマ)神の力の象徴
3. 黄色と白色の布はiswara(イスワラ)神の力の象徴
4. Cili (チリ)又はgegantungan(グガンタンガン)は天使の力
5. Tamiang(タミアン)は悪除けの象徴
6. Ubag abig(ウバッグ アビグ)はrare anggon(ラレ アンゴン)の力の象徴
7. サトウキビはsambu(サンブ)神の力の象徴
8. 根菜果物はwisnu(ウィシュヌ)神の力の象徴
9. ヤシの実はludra(ルドラ)神の力の象徴
10.ヤシの木の葉っぱはmahadewa(マハデワ)神の力の象徴
11.葉っぱはsangkara(サンカラ)神の力の象徴
12.神棚はshiwa(シワ)神の力の象徴
13.お供え物はsada siwa(サダ シワ)神の力の象徴
14.Lamak(ラマッ)は三つ世界の象徴です。「神、人間、悪い魔物」の世界
15.竹はmaheswara(マヘスワラ)神の力の象徴です。
神聖なシンボルであるため、バリ島で宗教的なペンジョールを作る時にこれらの全ての要素は必要となっています。それに加えて、ペンジョールはヒンドゥー教の宗教的な価値観と倫理に密接に関連しているウェダの教えの実装です。装飾のペンジョールの場合は上記の全ての要素は必要ありません。美しく見えるように魅力的に装飾するだけで十分です。ペンジョールはバリのヒンドゥー教の文化遺産と伝統になります。ペンジョールはガルンガンお祭りの日から35日後に撤去されます。その日はバリ島で「budha keliwon Pahang(ブッダ クリウォン パハン)」日と言われます。「puncak manik(プンチャッ マニッ)」と言われるお供え物で、ペンジョールの全ての部分が燃やされ、灰はココナッツに入れられ、家の庭に植えられます。ペンジョールの灰を家の庭に植える目的は、家の庭も肥沃になり、家に住む人々が常に平和になるように神様に求めると言う目的です。それがガルンガンお祭りやお寺の儀式の際に常に設置されるペンジョールの意味です。
終わりに
ペンジョールはバリ島の宗教儀式の主要な装飾の一つになりました。ペンジョールはガルンガンお祭りやほかの宗教儀式の際に家や寺院の門の前に設置されます。宗教におけるペンジョールの意味は、全ての人間の福祉のために、生命と地球の産物を与えてくれた神への人間の感謝の表現となっています。ペンジョールは神聖な山のシンボルでもよく言われます。
昔ペンジョールは家族や友達とほぼ100%家で作られていました。ペンジョールの飾りなどはほとんど家の周りや村の周りにある畑にあるので、ほとんど買いませんでした。しかし、現代の発展に伴い、皆仕事で忙しくなり、ヤシの木畑や田んぼなどが減少しているいので、ペンジョールの飾りは100%買ってしまう家族も増えています。
ペンジョールの飾りのお店で買う人
出典:(https://1news.my.id/2021/11/04/ahead-of-galungan-sales-of-penjor-knick-knacks-are-starting-to-bloom/)
ちなみに私の実家ヌサドゥアでは、昔は竹だけ買ってほかの材料は買わずに作っていました。しかし、観光地化が進み現在では森林やヤシの木畑がほとんどなくなってしまいました。
そのため、現在では材料だけ購入してお父さんが一から組み立てて作成しています。
私のブログを読んで、バリ島の文化や歴史などについて、あなたの知識が増えることができれば、嬉しいです。最後まで読んでくれてありがとうございます。